ひょん先生は背中で語りたい

精神科医。いじめられ体質から成長中。月曜日更新予定。

【愛着障害】こころがざわざわしたときの対処法

こんにちは。愛着障害、いじめられ体質克服中の精神科医、ひょんです。

母との関係が良く分からなくなってきて、ざわざわしています。悪い変化ではない、はず。昔と比べて理解してくれている部分もあって、母も変わってきているけど、変わっていない部分もあるので、それで古傷がうずいています。親との関わりは、距離感が大切で、距離が掴めるまでは対処的に癒していく必要があります(親との関わりについて気になったら【愛着障害、毒親】親とうまくいかない3つの理由 - ひょん先生は背中で語りたいを参照)。いくつか対処法を試して落ち着いたところなのですが、親きっかけじゃなくてもざわざわする人は多いんじゃないかと思います。

古傷のうずき、こころのざわざわの落ち着け方についた共有します。

 

 

①フラッシュバックだと知る

ひらめいた人のイラスト(男性)

原因が特にない落ち着きのなさ、気持ちのアップダウン、イライラなどの、平常時とは違う、こころのざわざわはフラッシュバックが原因で起きていることが多いです。

フラッシュバックの原因がはっきりわかることもあれば、わからないこともあります愛着障害の場合、幼少期の傷つき体験がきっかけとなって、その後も友人関係がうまくいかない、いじめられてしまうといったようなことで何重にも傷つき体験を重ねていることが多く、傷がかなり複雑でわかりにくいのです。

落ち着きのなさから、よりパニックになったり、どうしようもなくなって人とトラブルになり、自分で自分を責めてしまい、悪循環になることがあります。

まずは、特に原因がなくざわざわして落ち着かないときは、フラッシュバックが起きていることに気付きましょう。フラッシュバックは過去の記憶によるものなので、今現在怖いことは起きていないという理解にもつながりますし、それ以上の混乱や自分を責めすぎてしまうことを防ぎます

 

②落ち着きを取り戻す「小技」を準備する

メモ帳のイラスト(文房具)

あらかじめ、フラッシュバックが起きたときの小技を持っておくと良いでしょう。フラッシュバックを全くなくしてしまう特効薬を探すのは難しいので、まあ少し楽になるかな、くらいの「小技」を探しておきましょう。ほっとするようなものが「小技」に適しています。この「小技」は人によって合う、合わないがあります。試してみて、オリジナルレシピを作る必要があります。

「小技」でも、グラウンディングと呼ばれるスキルがフラッシュバックに効きやすいです。体の感覚に集中することで、フラッシュバックで過去に戻っている意識を「今、ここ」に足を付けるようにするのです。

 

グラウンディングの手法として、

・呼吸法(姿勢をよくしてゆったりした呼吸に集中)

・体をなでる、マッサージをする

・暖かい/冷たい 飲み物を飲む

・周りの景色を見渡す                        など

 

があります。

私は、ブランケットを背中にかけたり、アロマの香りを匂ってみたりします。外に出れるくらいの元気があれば、行きつけのカフェに行ったりします。(気になる方は過去の記事をどうぞ:行きつけの勧め - ひょん先生は背中で語りたい、 行きつけにするカフェの選び方 - ひょん先生は背中で語りたい )

普段、どんなことがほっとしやすいのか少し探してみたり、きつくなった時はこれを試そう!というものを作っておくと良いと思います。スマホのメモでも良いので、きつくなった時のすることリストと書いておくと、すぐに応急処置ができます。リストにいれる「小技」はスマホを見るくらいに手軽で簡単なものを用意すると良いです。質はこだわらなくて良いので、なるべくたくさん列挙しておくと、これがだめでもあれがある、という安心感も加わって、さらに落ち着きやすくなります

 

③お手上げのときは嵐が過ぎるのを待つ

 毛布をかけて寝る人のイラスト
お手軽な「小技」レシピを作っていても、考えたり行動をする余裕が少しないときもあります。パニックが強すぎたり、逆に何も感じられなくなったり、気持ちがふさぎ込んでることもあると思います。どうしようもない、圧倒されるような緊急事態が起きていると捉えてよいでしょう。
そんなときは自分にあまあまにして、時間が過ぎるのを待つのです。家で好き勝手に過ごします。
気力が0パターンは、もう何もせず、何も考えず、ぼけーっとします。私は普段食事管理に気を付けていますが、お手上げのときは一切合切のしばりをなくして、普段飲まないような激甘ドリンクを飲んでうだうだします。
とにかく落ち着かない、イライラするときは、ベッドで暴れたり、クッションと喧嘩したり、大声で叫んだりしています。暴れたい衝動は、後悔する結果を引き起こすことがあるので、「これだったら大丈夫」という枠はいるかもしれません。
嵐が過ぎるまでの応急処置で、「好き勝手」します(社会生活を逸脱しない範囲で!)
 

まとめ

 
こころがざわざわして落ち着かないときの対処法を書いていきました。ざわざわはフラッシュバックや古傷のうずきが原因となることが多く、そのパターンになってないか、と気付くことがまず大切です。フラッシュバックが起きてもほっとするような「小技」を集めておくこと、「小技」もできないときは、とにかく緊急事態が起きているのだから時間が過ぎるのを待ちます。
 
おすすめの一冊
 
愛着障害の克服のためには安心感を育てていくことが大切です。

「安心のタネの育て方」という本はポリヴェーガル理論に乗っ取って、安心感の育て方をいくつか提案しています。「小技」としてもお手軽に使えそうなものばかりです。ほっとする、ということがよくわからない方でも試すことができます。

 

【愛着障害】どこにいってもいじめられやすい理由

こんにちは。

愛着障害の人すべてがいじめられるわけではないけど、いじめられやすい人が多いなと思います。私もなんでか人から悪態をつかれたり雑に扱われることが多かったです。理由がわかってきたので、共有します。

 

いじめられっ子から脱却するために、まずはなぜこの状況になっているか知りましょう。

 

 

①相手に自分軸を譲ってしまう

まず知ってほしいのは、あなた自身が自分の評価や扱いに対する権限を譲り渡している、ということです。自分に自信がないので、他人の言動に従っているのです。簡単にマウントをとられやすいのです。

誰でもいいから嫌な気持ちをぶつけたい、という人からすると好都合です。自分は悪くない、お前が悪い、という世界観をそのままぶつけられると、相手軸で考えてしまうために、なんだかそのような気持ちになって従ってしまうのです。

 

②警戒しすぎて目立つ

警戒心が強すぎると目立って目を付けられやすくなります。相手に自分軸を譲っているし、八つ当たりしたい人や嫌なことを押し付けたい人の格好のターゲットにされてしまいます。また、おどおどした様子が弱い印象を与えるので、威圧すれば言うことを聞く、と思われて実際に威圧されやすくなります

③悪意しか見えなくなっている

 


物事の見え方、受け取り方の問題もあります。

あんまりにもいじわるされ続けていたために、いじわるにしか見えなくなっていることがあります。嫌なことに耐え抜いてきた人は、自分も同じようにせず人に親切にふるまいたい、という人が多いのです。ただ、他の人たちはそのような経験をしていないことが多く、あなたができる気配りができないことだってあるのです。嫌な気持ちにならないような配慮が当然できるだろうと思うのですが、なんとなくその場で思いついた言葉をtwitterのようにつぶやいてしまう人もいます。

いじめられたと感じることで相手に対して不信感が生じ、それが敵意として捉えられることもあります。敵意を向けられたと感じた相手が応酬としてあなたに敵意を向けます。結果としていじめを誘発する場合もあります。

 

まとめ

 

「どこにいってもいじめられる」は自分で改善できる部分が大きいです。まずは、①~③のことが起きていないかということを検証してみましょう。

当てはまったからといって、あなたが悪い、ということではないです。どうか自分を責めないでください。おそらく、生まれ育った環境では、相手に合わせることや、常に警戒することが生き延びるために必要だったのだと思います。

私は①~③まですべてあてはまります。私の家は家庭内DVが行われていましたが、私だけが暴力を振るわれなかったことを考えると、かなり暴力から逃れるためのスキルとしては機能で来ていたと考えられます。ただ、今もそれが適応できる環境ではなく、むしろ生きにくくなっているのです。過去には役にたっていた面があることを受け入れつつ、少しずつ変えていくことが大切です

 

処方箋

 

自分軸を作ること、思い込みに気が付くことが大切です

自分軸を作るためには、自分自身を認めることが大切です。セルフコンパッション(セルフコンパッションについて - ひょん先生のブログ)や好きなことを大切にする活動(好きの大切さについては好きは大切という話 - ひょん先生は背中で語りたい)をしてみましょう。

思い込みに気付くためには、本当にそうだろうか、と疑いの目を向けることが大切です。しっかりやりたい場合は認知行動療法認知行動療法について - ひょん先生は背中で語りたい)を試しても良いでしょう。

 

①~③の特性を持っていても、ご自身では違うと思われることもあるかもしれません。私も相手に主導権をすべて明け渡してしまっているのだ、と気づくのに時間がかかりました。とりあえずは、そうかもな、と流していただいて大丈夫です。人それぞれタイミングがあるのです。

 

おすすめの1冊

いじめやハラスメントで何が起きているのか、という理解に役立ちます。人の意見に従いすぎてしまう、そんな自分を変えたいならおすすめです。

 

【愛着障害、毒親】親とうまくいかない3つの理由

こんにちは。愛着障害、いじめられっ子克服中の精神科医、ひょんです。

今日は、母とお食事したのですが、軽いフラッシュバック起こして、怒ったり泣いたりしました。外来でも、今日の私と同じように親との関係をよくしたいのに上手くいかなくて悩んでいる人はたくさんいました。どういうポイントで反応してしまうのか、何が起きているのか、という情報をシェアするために、傷つきポイントや理由を共有します。また、それぞれに対処法についても書くので、参考になりそうだったら取り入れてみてください。

 

小山座りして項垂れる女性

 

 

①昔も今も親が変わらない(ことが多い)

愛着障害で失われていた安心感の不足、欠如をある程度補われてくると、本来愛情が欲しかった親への愛情希求が始まることが多いです。子供の時に得られなかったものを補おうとする、健康的な反応なのですが、親側が対応できないことが多いです。

簡単に人が変われないという単純な話ではないのです。親側の事情も複雑です。親もその親から同じような育てられ方をしており、以下のような理由から根本的な問題を理解できず、接し方を変えることができないと考えられます。

 

 

  • 十分な受容や共感のある関わりをしてもらったことがないためどうして良いのかわからない
  • 親自身も不安定な愛着であるため傷つきやすく、子育てを否定されることを恐れているため、子供の言い分を認められない
  • 自分の行動が子供の愛着形成を妨げ、傷つけ続けたことを認めることになり、耐えられない
  • 親のその親から、求めていた愛情を受け取れなかったことが多く、それに気付きたくない、愛されていたと思いたいので間違いを認めたくない
  • 子供に愛情深く接することで親のその親との傷つき体験を思い出してしまうので、触れ合いなどは避けたい

 

親を許せ、ということではないのです。許せないなら許さなくても良いです。ただ、なぜか、どうしてか、というのがわからないままだと苦しいので、こういう事情があるのだな、ということだけでも知ってもらいたいです。

 

処方箋

十分な関わりでなかったとしても、親と連絡を取り合ったり関係が続いているのであれば、本当は与えられるはずのものを与えていないわけではなく、愛していて、与えたいと思っていても与えることが難しい場合が多いと思います。その場合、少しだけ変化していることもあると思います。愛したかった、ということだけでも少しは楽になると思います。私は書きながら少し楽になっています。

 

②怒ってしまう

 

愛着が再形成できてくると、親の愛情を求める気持ちというのが一層強くなります。

今までの傷ついた体験をわかってほしい、昔得られなかった安心感を与えてほしい、という気持ちが、怒りとして爆発してしまうことが多々あります。

怒りも受け止めてくれて、きちんと謝ってくれて、これから先の対応も改めてもらえれば愛着の修復も進みます。しかし、先ほど説明したように、親が愛着に気付けない、行動を変えられない事情があるので、訴えていることが満たされません。どんどん怒りが増幅してしまい、最終的に高齢の親にここまで怒鳴り散らしてしまった、と罪悪感を感じてしまいます。今日の私です。親自身も不安定な愛着で責められることの恐怖心から、子どもの傷ついた気持ちに寄り添うよりも、とりあえず謝ったり、この場をなんとかするための行動をとられてしまうため、余計に悲しく、怒ってしまいます。怒ったことを、あんたは怒りっぽいね、昔はこんなじゃなかったのに、私のことが嫌いなんでしょ、といった言い方をされてもっともっと傷ついてしまいます。

怒りたくないのに怒ってしまう、それを理解してもらえず、場合によっては怒ったことを責めらてしまうのです。

 

処方箋

親に対して怒ってしまうのは、心が健康になってきている証拠です。親側の事情で受け入れてもらえないだけです。あなたは悪くないのです。押し殺したり否定するともっと苦しくなります。怒ってしまうその気持ちを受け入れてあげてください。

 

補足:気持ちを自分で受け入れるのに、セルフコンパッションも役に立つと思います

drrpsychiatry.hatenablog.com

 

③理解が得られない、拒絶される

「適切な愛情の注ぎ方」ということがわかっていないから、何年も何十年も愛着が不安定なままであり、ちょっとしたきっかけで親がすっきりとした理解に至ることは稀です。①でも述べたように理解できない、したくない事情というものもあります。

比較的若い患者さんの場合は、親が一生懸命理解しようと悪戦苦闘する様子があるのですが、ある程度大人になってしまった場合は、より理解が得られにくい傾向にあります。「今さらどうしろっていうの…?」とまるでこちらが親をいじめているかのように言われてしまうことがあります。

さらには、過去の傷つき体験を「苦しかった!悲しかった!」と怒りとしてぶつけると、「一生懸命子育てしていたことはわかってほしい」「トラウマのきっかけになるならもう会いません。幸せになってください。」と一方的に連絡を絶たれることもあります。私の母と父のコメントです。

「わかってほしい!」「受け入れてほしい!」がなかなか報われません。

 

処方箋

理解が得られない場合、通院しているのであれば主治医から親へ病状説明してもらったり、診察に同席してもらうのも手です。第三者の、専門職のコメントは本人から説明するよりは理解してもらいやすいことがあり、さらに、どのように接するのが良いのか、ということを見てもらえるというメリットもあります。

私は長い間、親への警戒心の強さから診察に同席を拒否してきましたが、次回受診のとこいは同席してもらうつもりです。私も専門だけど、親に説明はなかなか難しかったし、専門でない場合はもっと難しいと思うので、主治医と話し合って、主治医からの病状説明や診察の同席も考えてみても良いと思います。

 

まとめ

 

愛着障害の人や毒親育ちの人が傷ついてしまう、3つのポイントとその理由、対処法について書きました。

親との関係がうまくいかない、私が悪いのかな、このままうまくいかないまま親と死別してしまうのかな、と不安がたくさんあると思います。親との関係を切ってしまって楽な人は切ってしまって良いのです。親の事情があったとしても、あなたとは関係ないし、無力な子供であったあなたは被害者です。ただ、簡単に切れないから苦しいんですよね。

親に期待すればするだけ傷ついてしまうので、時には外部の助けをかりつつ、自分で自分を満たしていきながら、苦しくならない親との距離の取り方を取る練習をしていくのが良いでしょう。愛着障害で親との関係で悩む時は、①親に期待せず自分で自分を満たす、②親との適切な距離を取る、ことがポイントになります。

距離の取り方で悩んだときに、今日の記事が参考になると嬉しいです。

 

おすすめの一冊

苦しいのは自分だけじゃない、と知ることも心の支えになります。いろんな人の体験に触れたり、どういう風にみんな付き合っているだろうということを知るのに良い本です。漫画+解説(コラム?)でさらっと読めます。

 

行きつけにするカフェの選び方

こんにちは。いじめ克服中の精神科医、ひょんです。

居場所作りになるし、大切にしてもらう経験もできるため、特に愛着障害の人は行きつけを作ることがおすすめです(行きつけの勧め - ひょん先生のブログ)。

外にある程度出ることができて、行きつけを探そうか、という方向けにお店選びのコツを書いていきます。カフェ好きなのでカフェを中心に書きますが、例えばお花屋さんとか、別の行きつけを作りたい方も、雰囲気を掴んでもらって自分なりにアレンジをいただければと思います。

 

 

カフェ

 

居心地が良い

 

条件で査定する前に、まずあなたにとってそのお店が居心地が良いかが第一審査基準です。

審査基準はなんとなくで良いのですが、私の場合の居心地の良さを定義すると

  • 客層

  • 照明やBGM
  • 商品の品質、値段

 

です。

もちろん、人によって居心地の良さの指標は違うので、自分らしい基準で考えてみてください。

私の場合、中高時代にいじめられたので、若い子が多すぎる場所はそわそわして落ち着きません。席とりがえげつなかったりするお店は、お客さん要因で嫌な気持ちになる可能性があるので行きつけとして避けます(しかもお客さん要因は対お店の人と比べて解決しにくいです)。

うるさすぎるところも避けます。これらの特徴というのは、安いチェーン店で多い印象を持っていますが、だからといって身の丈に合わない価格のお店は居場所としてはどうかな、と思うので避けています。アクセスの良さも居場所としてはそれなりに大切ですが、居心地がよかったうえで、アクセスも良ければいいな、くらいでいいと思います。

 

均一に親切な接客サービス

 

「均一」に「親切」であることが大切です。今日は良かったけど、次行ったら感じ悪い接客のかもしれない、という均一でない接客サービスは注文だけの関わりでも不安要素が出てしまうので、避けたほうが良いです。

もちろん、お店の人やその時の込み具合で若干サービスが変わってしまうこともありますが、個人のお店や教育体制がしっかりしているお店が良いと思います。

個人的にはスタバがお気に入りです。

 

距離感が調度良い

 

これについては人それぞれの好みでしょう。

カウンターでちゃんとお話してもらえるお店が好きな場合もあるし、注文した後はそっとしてほしい、本を読んだり好きに過ごしたい場合もあるでしょう。

またお店の人だけでなく、お客さん同士の距離感も大切です。隣の人の声や視線が気になるお店は、お客さんによる安全の不確定要素があるので、距離感としてはいまいちです。

 

まとめ

行きつけにするカフェの選び方について書いていきました。基準はそれぞれで良いのですが、居心地の良さ、接客サービス、距離感が私のなかではポイントです。

 

いくつかお店をリサーチしてみましょう

行きつけのカフェ探しで、一か所に決めてしまうのも良いですが、何か所か探してみて、その中からお気に入りをいくつか作るのがおすすめです。私は行きつけを4か所作っています。苦しくなって居場所にいたいときに、営業時間外になる可能性もあるので、分散する目的もあります。また、カウンターで構ってほしい気分の時と、適度に人がいるくらいが良いときがあるので、そうした分け方もしています。

いくつかお店を見ていく中で、自分なりの基準を見つけていきましょう。

言いたいことを我慢しすぎることの3つのデメリット

こんにちは。

愛着障害の人はどうしても自分の気持ちを伝えられない傾向にあります。空気を過剰に読もうとしたり、自分が我慢して収まるなら我慢しようとしすぎてしまうのです。

ただ、我慢してそれで万事OKかというとそういうわけでもありません。

デメリットについて3つご紹介して、簡単な気持ちを伝える練習方法も最後に紹介しようと思います。

 

 

1.周りが悪い人に見えてしまう

 

空気を読みすぎてしまう人は、他の人が空気を読んでくれないと、その人を責めてしまう傾向があります。言葉で示さなくても、思いやりがないと感じたり、なぜ私ばかりが我慢しないといけないんだろうと不満が積み重なってしまいます。

案外周囲の人は、あなたがなんとなく嫌そうだ、ということには気付いていて、「言いたいこと言えばいいのに。面倒だな。」と離れて行ってしまうこともあります。周りの人と仲良くするためにしていた我慢が裏目に出てしまうのです。

 

2.悪い人に利用される

 

1.の悪く見えてしまうだけの人が多いのですが、意見してこないから利用しようとする悪い人もいます。空気を察してくれる人をうまく利用することに長けています。また、合わせてくれる相手に対し、自分に都合の良いルールを押し付けてきます。

このタイプの人は、空気を読んで我慢をしてくれるタイプを見つけるのが得意で、適格にターゲットを定めていじめてきます。

 

3.心身への悪影響

 

ストレスを抱えすぎてしまうことで、メンタル不調や、さらに身体の不調を来すことがあります。ずっとイライラしてしまうことで自律神経の不調が生じ、疲れやすくなるし、気持ちも冴えないし、なんとなく体がだるい、ということが起きてしまいます。また、おなかの張り、便秘や下痢といった腹部症状が起きることが多いです。東洋医学気滞という、イライラが溜まった状態ではおなかも張りやすいとされていて、イライラとお腹は関係あるようです。

 

まとめ

 

身近な人まで悪く見えてしまうし、実際に悪い人に利用されてしまいます。結果として、良い関係を築きたいから我慢していたことが、対人交流悪化につながってしまうのです。また、心身の健康も害してしまうのです。

今まで、気持ちを抑えることを強要されてきたり、そうしなければ生き延びることができなかった人たちに過剰に空気を読んで我慢しすぎる傾向があります。今まで、我慢することで生活に適応できていたと思うのですが、自分の意見を自由に言って良い環境ではむしろ不適応となってしまいます。

 

言いたいことを言えるようになる処方箋

まずは自分で思っていること、感じていることを知り、それを言葉にする練習をしてみましょう。筆記開示(20分間頭に思い浮かんだことを書いていく)や日記といった手法を試してみると良いでしょう。安心して話せる人がいるなら、その人に愚痴を聞いてもらうのも一つですし、カウンセリングを利用してみるのも助けになると思います。

まずは自分で一人で自分の気持ちを聞いてあげて、それから人に聞いてもらう、というステップがやりやすいと思います。

 

上手な気持ちの伝え方をもっと知りたい方はアサーションの勉強をしてみると良いと思います。自分も他人も大切にした気持ちの伝え方のスキルです。

 

 
最近はマンガで勉強できる本も増えていて便利ですね。

STAIR/NSTについて

こんにちは。

やっと、ずっと書きたいといっていたSTAIR/NSTについて書きますよ!PTSDも含めて全体の治療選択の図もわかるような記事も書こうかな。

一般向けにSTAIR/NSTについて書いて、セルフで実践しているので、どんな風にセルフでしているかも書こうと思います。ただ、セルフでするプログラムではないので、興味ある人で、通院先で実施できないときに、参考程度にさらっと読んでもらえると嬉しいです。

 

STAIR/NST とは

 

複雑性PTSDに効果があるといわれている治療法になります。児童虐待のサバイバー向けに開発された経緯があります。複雑性PTSDは、主に子供時代に複数回のトラウマ体験をもった場合に生じるPTSD症状+感情調整や対人関係の機能障害になります。(もう少し知りたい方はこちらをどうぞ:複雑性PTSDについて - ひょん先生のブログ

従来のPTSDの治療については、フラッシュバックや回避、驚愕反応といったPTSD症状を治療対象としていましたが、STIAR/NSTでは感情調整や対人関係の問題にも対応できるように治療プログラムが構成されています。

 

治療構成

 

治療は2部構成となっており、STAIR:感情と対人関係のスキル、NST:ナラティブ・ストーリー・テリングに分かれています。

 

STIAR

STAIRの部分では自分の感情に気付き、その傾向を知り、対人関係のスキルを身に着けていく部分になります。複雑性PTSDでは、トラウマ体験が慢性化している環境で生き延びるために、偏った捉え方をしてしまっていたり、健康的に育った人であれば自然と身に着けてるような気持ちの落ち着かせ方や、自分の気持ちの伝え方、というスキルを持ち合わせていないことが多く、それにより、感情調整や対人関係の問題に対する対処が難しくなっていると考えられます。その、感情調整や対人関係スキル向上を目的とした治療パーツです。それ自体のスキルが日常生活の困難を減らすのですが、後半のNST部分ではトラウマ体験を話すため、そのストレスに耐えられるだけの基礎体力をつけることも目的としてあります。

 

NST

NSTの部分では、従来のエクスポージャーと同じように、トラウマ体験を語るのですが、エクスポージャー(暴露療法、恐怖になれるためにトラウマ体験を話す治療法)との違いは、物語としての整理をしていくことです。従来のPTSD治療では恐怖の体験を扱うことが多かったですが、恥や喪失といった感情にも対応しています。トラウマ体験は、今は状況が異なるにも関わらず、現在も強い感情を持って、思い出しては圧倒されているために、PTSD症状を引き起こしているのです。NSTでは、強い感情に対して慣れるというだけでなく、記憶を整理して、人生史の一部として捉え、今はトラウマ体験が起きていたときとは違うのだと認識し、STAIRの部分で扱ったような、思い込みの由来を知り、その思い込みを手放す作業を行います。

また、新しい対人スキルを身に着けるためにロールプレイも本来行うのですが、一人ではできないので、エンプティチェアと呼ばれる、椅子の向こうにその人が座っていると想像してその人と私のやり取りをする、といった技法があるので、それを使おうかな、とぼんやり思っています。

 

私自身への導入法

 

STIAR

STAIRの部分の、アサーション(相手も自分も大切にしながら自分の気持ちを伝えるスキル)やその他の教育的な内容についてはある程度理解できているので飛ばしました。一般の人がするなら、グラウンディング(呼吸に集中したりして今現在に意識を戻す手法)もやってから取り組んだ方が良いと思います。治療で思い出してしまっても、今現在に意識を戻すことで、圧倒的に強烈な過去に負けないようにサポートしてくれるスキルになります。

認知行動療法的に感情の癖をとらえ、次に対人関係の癖をとらえ、トラウマ体験に縛られない対人関係の結び方について考える、という戦法をとることにしました。使用しているフォーマットについて、本当は本の内容を掲載したいのですが、時々、参考資料として外部に載せてはいけない資料もあるみたいだから、今回は概要だけのお話になります。参考程度にどのようにすると良さそうかくらいは書きますが、最後にSTAIR/NSTの本のリンクを貼るので、気になる方は本を読んでみてください。

感情の癖の捉え方として、認知行動療法をベースにした、起こった出来事、自分の感情、認識、行動といったことがシートに入っているものを使うといいと思います。対人関係についても、同じように起こった出来事、認識、行動、結果を書いてまずは対人関係で捉われている思い込みを知り、それに慣れたら次に、過去ではない今でどのように出来事をとらえて行動すればよいのか、ということを書いてみたり実践してみたりします。今は、この対人関係の部分をしていますが、単純に感情の癖をとらえるより難しいです。

 

NST

 

この部分はまだやれていないのでこういう風にしようと思う、という内容になります。

 

人生に影響を及ぼしているようなトラウマ記憶を4~10個選び、苦痛レベルを0~100で評価します(SUDs:主観的苦痛単位を用います)。

これらを匂いや触れているもの、感覚、感情まで詳しく、今起きていることを解説するように話していきます。

いきなりトラウマから話すのではなく、過去のただの思い出を話して感覚を掴むところからしようと思います(実際の治療でもそのようにします)。

1週間に一つの出来事を語っていき、それを録音しながら2,3回繰り返して読む、ところどころ、SUDsもつける、といったこともして、苦痛が軽減されるのを確認します。録音したものを毎日聞きます。その日聞き終わった後のSUDsも記録します。SUDsが30以下に下がることが目標とします。

STAIRの時の対人関係に対するシートを時々しながら(テキストではNST中は週2回くらい)、トラウマ体験の語り作業と一緒に振り返ろうかなと思います。

 

まとめ

 

複雑性PTSDのSTAIR/NSTについて、治療の内容と、私がセルフで実践している方法を書きました。

治療法がある、というのを知っているだけでも希望が持てますし、こんな感じかあ、ということを知ってもらえると嬉しいです。

私は知識もある程度あるし、セルフでしていますが、一般の方は、強烈なトラウマ記憶に引きずられてしまったりするので、サポート体制がある場合にのみされた方が良いと思います。また、本来であれば対人スキルを身に着けるときにロールプレイを行うなど、一人ではできない要素も生じていますし、第三者に聞いてもらう、という作業は一人であれば置き換えできないので、STAIR/NSTを受けたいのであれば、対応できる病院に通院されるのが一番だと思います。

最後にSTAIR/NSTについての本のリンクを貼っておきます。もう少し詳しく知りたい方は是非読まれてください。少し難しい部分もあるかもしれませんが、一般の方も読めるように専門的な用語もわかりやすく書かれています。

 

トラウマがある人を傷つけてしまう3つのメッセージ

こんにちは。

 

今日はブログをお休みしようかなと思ったけど、日課になってきていて、ブログを書くことでやるべきことをやれた、という気持ちになれるし、誰かのお役に立てるかもしれないと思って、ブログを書くことにしました。書こうとしていたSTAIR/NSTについてはエネルギーをかなり使いそうなので、今日は経験も踏まえた記事にします。

ブログを書くなら何を書こうと考えていた時に、今まで言われて傷ついた言葉を思い出して、このことを記事にしようと思いました。

 

トラウマを抱えていて、周りの人の言葉に傷ついてきた人達は、傷ついちゃうのは自分だけじゃないんだということを知ってほしいし、トラウマ(ここでのトラウマは幼少期の傷つき体験も含めます)がある人が回りにいる人や、今回りにいなくてもいつか接することがあるかもしれないので、NGワードとして知っておいてもらえると嬉しいです。

 

 

あなたも(もしくは、あなたが)悪かった

 

例えば性被害者の場合に、もう少し落ち着いた服にしていたらよかったんじゃない?、とか、そんな遅い時間に出歩いたのが良くないんじゃない?と言ったことは、直接的に言わなくても、あなたも悪かったよね、というメッセージになります。

トラウマがある場合に、その出来事の恐怖だけでなく、恥といった感情も持ち、自分も悪かった、落ち度があったと感じていることが多いです。理不尽な理由で虐待を受ける子供も、自分が悪いから殴られるんだ、と思っています。落ち度がなくても、自分が悪いと思ってしまうのです。

言っている側としては、対策ができることであったということを伝えることで安心させたい(もしくは自分自身も対策をすれば危険は起きないということを信じて安心したい)、これから予防できるようにアドバイスをした、という気持ちかもしれませんが、さらにトラウマ経験者を追い詰めてしまいます。トラウマ体験者は世の中や他人や自分自身に対する安心感が損なわれています。その中で誰かにその体験を話し共有する、というのはとても勇気がいることだったのに、あなたが悪いと言われてしまうと、もうどうしようもなくなるし、誰かに助けを求めることも難しくなってしまうのです。

トラウマを受けた側も落ち度があった、と個人的に思ったとしても、あなたも悪い、落ち度があった、というメッセージは控えましょう。また、あなたも悪かったというメッセージよりもあなたが悪かったというメッセージの方がより決定的に心の傷をえぐります。まずは心の傷のかさぶたを作らないといけません。トラウマ体験によって傷ついた思いに共感、傾聴することを大切にしましょう。

 

嘘だと決めつける

 

トラウマ治療のうちにNET(ナラティブ・エクスポージャー・セラピー)というものがあります。トラウマ体験を人生の物語として語ることでトラウマ記憶を整理し、トラウマ体験に対する強烈な感情を軽減する、という治療法ですが、トラウマ体験を第三者に証言することが有用性に結びついている、とされています。体験したことを本当のことであり、かつそれも重大な出来事であったと受け止めてもらうことは大切な体験なのです。

先ほども伝えたように、トラウマ体験を第三者に伝えるというのは、思っている以上に勇気のある行動なのです。話すこと自体で思い出してしまう、余計に傷つくことをいわれるかもしれない、と思いながら打ち明けたのに、重大な傷が生じた出来事を嘘と言われてしまえばさらに自分自身を含めた誰も信用できなくなります。トラウマ体験者は、だれもわかってくれない、という孤独感を持っており、トラウマ体験を否定することで、さらに孤立してしまいます。

 

補足:主観的事実と客観的事実(特に幼少期のトラウマ体験について)

 

私は一度、幼少期の面前DVや教育虐待について後輩に話したことがあって、その時は話を聞いてくれていたけど、なにかで気に入らないことがあったのか、後から「虚言癖」と言われました。今でもなんでそんなことを言われたのか、相手を怒らせるようなこともなかったように記憶していますが、酷く動揺し、怖くなって連絡をとらなくなりました。また、両親とのトラウマ体験について直接両親に話してみても、「あんたの記憶違い」と言われてしまいます。

出来事には主観的事実(本人が感じた事実)と客観的事実(第三者から見て明らかな事実)があります。幼少期の傷つき体験について「やさしく注意をした」「かわいらしいと思い、冗談として言った」という客観的事実があったとしても、主観的事実として、「怒鳴られた」「馬鹿にされた」と本人が感じる可能性があり、嘘をついているわけではなく、それぞれが記憶している事実に不一致が起きることがあります。特に、愛着障害の子供を持っている親自身も愛着障害を抱えており、否定されることや過去の過ちを認めることに対する抵抗が強い場合が多く、親が記憶をゆがめていることもあるし、私は悪くない、と主張しやすい傾向にあります。

愛着の傷がある場合に、ある程度回復したときに、傷つけてきた相手に思いをぶつけようとすることがありますが、その時に、受け止めてもらえるか、受け止めてもらえないか、というのは治療的に大きな意味があるのです。事実がどうであったか、過去であればあるほど検証が難しいので、そうしたつらい思いをしていたこと、傷つき体験を幾重にも重ねてきたことを認め、ひたすら謝ることが、子供も回復を促すために必要と思います。ただ、幼少期の親の行動のトラウマ体験について、受け止めることができる親が少ないのも事実で、思いをぶつけたとしても受け止めてもらえないかもしれない、ということはあらかじめ覚悟した方が良いでしょう。

 

みんなできることができない、ダメな人

 

この記事を書こうとおもったきっかけとなった、傷ついた言葉は「社会人としての自覚を持ってほしい」という言葉でした。以前の職場でも体調不良のため勤務できないことがあったことも伝えており、休む時は体調不良について伝え、無断欠勤もしたことなく、むしろ体調が改善してきて、休む日も少なくなった時に言われました。

「社会人の自覚を持ってほしい」「社会人として毎日出勤してほしい」と今まで体調の相談をしていた副院長に言われました。今では怒りの方が大きいのですが、言われた時はかなり傷つきました。

トラウマ体験がある場合、私も(私が)悪かった、という罪悪感や劣等感を感じていることが多く、それを突き付けてしまうとさらに深い傷を与えてしまいます。また、看護師などの支援者でも、過去の出来事のせいにしないで本人が頑張らないといけない、私たちだって大なり小なり傷はあるのだから、という考えを持っている支援者(院内、院外問わず)もいます。何に困難を感じているか、ということに耳を傾ける必要があるでしょう。確かに、暴力行為など、誰かのせいにはできないし、自分で責任をとる必要があるのですが、トラウマ体験により本人が得ることができなかった体験、スキルというものがあり、その部分に対するサポートは必要でしょう。

みんなができるのに、あなたはできない、というメッセージは、劣等感や孤立感をより深め、立ち直りを邪魔してしまいます。

 

まとめ

 

今日はトラウマがある人を傷つけてしまうメッセージについて書きました。

トラウマ体験がある人は、みんなそういうものだよ、というのをわかってほしいし、支援する立場の人はこのポイントを特に気を付けてもらえたらと思います。

 

結局たくさん書きました。

また岡田先生の本なんですけど、愛着障害、幼少期のトラウマ体験の理解や支援についてとてもわかりやすくかかれていておすすめです。

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