【愛着障害】誰も教えてくれない!楽に生きるための暗黙のルール
こんにちは。愛着障害、いじめられ体質克服中の精神科医ひょんです。
愛着障害の回復過程で、これまで気が付かなかった健康な人達の暗黙のルールというのをいくつか見つけました。
そのルールは明文化されたものでなく、健康的な家庭で「なんとなく」伝えられていくものです。
不安定な愛着で育った愛着障害の人はその存在を知らないがために、生きることに苦戦してしまいます。
今日は楽に生きるための暗黙のルールについてお話します。
今回はそれぞれのルールを新たに自分の生活に取り入れるための処方箋も紹介しています。
1.人は「誰でも」価値がある存在で、嫌なことを嫌だと言っていい
多くの愛着障害の人は、愛情を十分に受け取れなかったことから、自分の存在価値に疑問をもっています。
また、悲しみや怒りの感情が否定され、我慢するように強いられていることも多いです。
そのため、感情を表出することに対する躊躇があり、思いや意見があっても必要以上に空気を読んで我慢したり、自分の気持ちに蓋をしすぎて自分でも感じていることや考えていることがわからなくなっていることがあります。
自分に価値がないと思っているため、ますます嫌なことを嫌だと言えず、怒ってはいけないと思っています。
もしくは、相手に過度な攻撃性を向けることがあります。
行動としては真逆ですが、心の動きとしては、自分に価値がないと感じているため、怒りなどの感情を我慢するか爆発しやすいかのどちらかに陥りやすいです。
愛された経験がなくて、自分に自信がなくて、人より秀でたことがないと自分で感じていたとしても、「誰でも」価値ある存在なのです。
当たり前に感じますが、自分に自信がないと当然のように自分だけは価値がないと思っていることが多く、意外と盲点です。
そして、嫌なことは嫌だと言っていいのです。
処方箋
自分は価値がないし嫌だと言ってはいけないというのは半ば呪いのような妄想で解くのはなかなか難しいですが、根気強く付き合うことで自らの呪縛から解放されることができます。
あなたが価値ある存在であると自分で信じれるまで何回でも繰り返し伝え、嫌だという練習を繰り替えして乗り越えることができます。
アサーションはまさしく嫌なことを嫌だという技術になります。
まだ記事で紹介できていないので、本を参考に実践してみてください。
2.健康な人との違いは能力でなく『社会スキルの多さ』
周りをみていると人付き合いが上手に感じます。
自分に人付き合いの能力が欠けているようにも思ってしまいます。
しかし、実際には社会スキルを知っているか知らないかの違いでしかありません。
健康的なに育った人は、健康的な大人たちのコミュニケーションをみて学び、実践する機会にも恵まれているので、上手な言い回しや身の振り方を知っています。
その一方で、不安定な愛着のもとで育った場合、健康的なコミュニケーションを見る機会が少なく、社会スキルを知る機会がなく、練習もできず、身に着けることができなかったのです。
精神科の治療では、当たり前にみんながしていることを、文章化して治療法と提唱しているものが多いです。
認知行動療法(物事の捉え方の変え方のアプローチ)だってアサーション(1.で紹介した嫌なことを嫌というスキル)だって、普通にみんながしていることを治療枠に当てはめているだけです。
処方箋
上手に人とやっていく方法を知っているか知らないかの違いです。
世渡り上手は単純にその方法を「知っているだけ」なのです。
あなたも社会スキルを知って練習できれば身に着けることができます。
手始めに認知行動療法(認知行動療法について - ひょん先生は背中で語りたい)やアサーション(1のリンクの本)のスキルを試してみてはどうでしょうか?
3.人の話はきちんと聞かなくても良い
愛着障害の人は共感性が高い人が一定数おり、人の話をきちんと聞こうとする気持ちが強いです。
気持ちを聞いてもらえなかった経験から、他の人に同じようにしたくない思いがあるのでしょう。
逆に話を聞いてもらえないと大切にされていないと思うことが多いです。
自分が一生懸命話を聞いているので、聞いている素振りが乏しいと大切にされていない感覚に陥りやすいのです。
ただ、多くの人は「自分都合」がデフォルトモードなのです。
基本的に話半分だし、相手の立場に立たない勝手な解釈をしています。
処方箋
自分都合を要素でわけると、以下の2つに分けられます。
①相手の言葉は適当に聞き流す
②自分の解釈で理解する
①を行うためには、相手の気分や考えていることは、こちらでどうしようもないことを知る必要があります。
相手を不快にさせないようにきちんと話を聞こうと考えやすいですが、きちんと聞いていても聞いていなくてもあまり快、不快に影響はありません。
そこまでの会話の精度を多くの人は求めていません。
むしろ正確さにこだわりすぎてしまうことで趣旨が掴めなくなり、「話を理解していない、話を聞いていない」という評価につながりやすくなります。
「ふーん」とか「へえ」くらいの態度がちょうど良いのです。
何気ない棘のある一言や嫌味が頭から離れないときは、「それって本当?」「100%言い切れる?例外もない?」「その人一人だけの意見じゃないの?」という批判的な視点で考えてみてください。
②を行うためには、自分の感情や意見を持つことを自分自身に許す必要があります。
ここでもあなた自身に価値があるんだということを思い起こしてください。
まずは、自分自身の感情や考えを認める必要があります。
思ったことや考えたことを日記につけてみると良いでしょう。
カウンセリングも、自分の思いや考えを口に出す練習になるので、カウンセリングも良いと思います。
補足:初心者は上手にできなくて当たり前
これは健康な人も知らないルールです。
逆に健康な人は知らないから、頑張ろうとする愛着障害の人を傷つけることが起きます。
自分の意見を言う、気持ちを伝えるにしても、健康的な人は小さい時からトレーニングを積んでいます。
頭でわかっても、実践経験がないのです。
自転車の乗り方が本を読んで身に着けられますか?
転んだりしながら感覚を掴むことで自転車は乗れるようになります。
自分の意見を言いたいのに、その場になると結局言えないことがあります。
言おうとすると強く言いすぎることもあると思います。
だって仕方ないんです、初心者だから。
たくさん失敗しながら、身に着けていくしかないんです。
特に、今まで従順だった人が変わるとなると周囲から抵抗も受けるでしょう。
「意地悪になった」とか、適格にあなたが嫌がる表現をして押さえつけようとする人もいるかもしれません。
でも、初心者なんだから、最初から上手にできなくて当然ということは知っておいてください。
何回も失敗すると思います。
でもトライし続ける自分をほめて、次のチャンスもあげてください。
あなただけはあなたの味方でいてください。
まとめ
今日は愛着障害の人が知らない、楽に生きるための暗黙のルールについてご紹介しました。
3つの項目に共通して、あなたは価値がある存在だ、ということを知って、それを信じるトレーニングが必要です。
そして、「嫌なことを嫌だと言って良い」、「スキルを身に着ければ上手な人付き合いができる」、「人の話をほどほどで良い」といった暗黙のルールを知り、新しいルールでの生活を実践してください。
人付き合いの苦しさが減り、生きやすくなります。