ひょん先生は背中で語りたい

精神科医。いじめられ体質から成長中。月曜日更新予定。

【いじめられ体質改善】上手な自己主張をするためのアサーション

こんにちは。愛着障害、いじめられ体質克服中の精神科医ひょんです。

アサーションについて何度か書いていたけど、記事でのご紹介ができてないなかったので、今日はアサーションについてご紹介します。

 

特に虐待歴のある女性は、自分の意見を言うことに対する躊躇や苦手さがあります。

虐待を受けていた当時は、自分の意見を抑えこむことで生存することが出来ていましたが、現在では周りの人たちと石共有できる環境にあるにもかかわらず行動パターンを変えないため、うまく関係を結ぶことができず不適応を起こしてしまっていることが多々あります。

 

また、いじめられ体質の人は、自分が助けを求めていないだけなのに誰も助けてくれないと被害的に思い込みすぎている側面と、実際に自己主張できないのを見抜いていじめっ子が群がっている側面があります。

いじめられ体質を改善するためには、どちらの側面を解決するためにも、自分の意見を言う強さが必要です。

アサーションは強くなりたいあなたのお役立ちアイテムです。

 

どうして自分の意見を言うのが苦手になってしまうのか、アサーションはどのように取り入れたらいいのかについてご説明します。

 

 

1.コミュニケーションの邪魔をしている3つの思い込み

自分の気持ちや考えを話さないことで、不本意なやり取りになったり、気持ちを汲んでもらえないことで相手に悪意があるように感じて被害的に捉えてしまったり、周囲との良好な関係が築きにくくなります。

また、周りの人も、本当はどう思っているのかわからないので、距離を置かれてしまいます。空気を読んで行動してくれるところを利用しようとする人ばかりが集まってきます。

人と上手くするために自分の気持ちを言わずにいるのに、良好な関係性が築けないばかりか、人間関係がますますうまくいきにくくなるのです。

 

自分の気持ちや考えを話せなくなってしまうのには、3つの思い込みがあります。

 

自分の気持ちや考えを言ってはいけない

 

特に虐待を受けた家庭では自分の気持ちや考えというのは否定されやすい環境にあります。

虐待らしい虐待を受けていなくても、周りの顔色をみて言動を変えなければいけない環境で育つと、無意識のうちに自分の気持ちや考えは話さずに、周りに同調しなければいけないと思っていることが多いです。

そのため、自分の気持ちや考えを話すことに抵抗を感じたり、あんまりにも抵抗が強い場合は自分自身ですらそれに気が付いていないこともあります

 

自分の気持ちや意見を言えば関係が壊れてしまう

 

自分の言葉を話さないようにして周りに馴染んで生き延びてきた人たちは、自分の気持ちや考えを話すということにとても高いハードルを感じることがあります。

また、実際に気持ちや考えを話しても否定され続けた人は、話しても無駄だと感じてしまったり、トラウマ体験や傷つき体験と結びついて、また攻撃されてしまうと感じている人もいます。

実際には、あなたに不快にさせる言動がなくても、何を考えているのかよくわからないと人はあなたと親密になれないと判断して距離を置かれてしまいます。

あなたが考えていることがよくわからないことから誤解が生まれ、責められることもあります

あなたとの関係を大切にしたいと思っている人は、あなたが考えていること、感じていることを知りたいと思っていますし、きちんと気持ちを話したほうが良好な関係は築けます。

あなたが嫌だと思ったことを伝えて離れる人は、大切にすべき人間関係ではありません。むしろ手放すべきです。

 

相手がわざと気付かないふりをしているという妄想

 

言わなくてもわかっているはずなのに、相手が気付かないふりをしているのだから、自分が何か言ったって無駄だろうと思っているパターンもあります。

実際にはあなたの意図が汲めていないことはあなたが思っているよりも多いものです。

また、実際に無視をしていたとしても、わざわざ言うことで相手も逃げられなくなるので、なにかしらのレスポンスはもらえます。

 

2.アサーションのスキル

自分の意見を言いたいと思っても言えないのは、どうやって言ったらいいのかスキルを知らないし、練習も足りないからです。

実際にアサーションを行うためのスキルと練習のステップをお伝えします。

 

アサーション

全ての人に「自他の権利を侵さない範囲で自己表現をして良い権利」があります。

12のアサーション権も読んでみてください。

これから実践するあなたを励ましてくれると思います。

12.のアサーティブでなくても良い、というのも良いですよね。

アサーションは無理に全部する必要もなくて、言いたいときだけ、できる範囲だけで良いのです。

 

12の権利

 

1.私には、日々の役割にとらわれず、一個人として自分の要求を伝え、自分で優先順位を決める権利がある。

2.私には、賢くてスキルがある対等な人間として扱われる権利がある。

3.私には、自分の感情を認め、表現する権利がある。

4.私には、自分の考えと価値観を表明する権利がある。

5.私には、自分の為にはい・いいえを判断して伝える権利がある。

6.私には、失敗する権利がある。

7.私には、意見や考えを変える権利がある。

8.私には、分からないことを分からないと言う権利がある。

9.私には、欲しいものややりたいことを求める権利がある。

10.私には、人の悩みについて責任を負わない権利がある。

11.私には、人の評価に頼ることなく、周りと接する権利がある。

12.私には、アサーティブでない自分を選択する権利がある。

引用:https://www.direct-commu.com/shinri/asa/

 

DESC法

 

アサーションはDESC法に当てはめるとやりやすくなります。

 

Describe(描写する):客観的に起こった出来事を伝える

Express(説明する):自分の意見や考えを伝える

Suggest(提案する):問題を解決するためのアイディアやしてほしいことを伝える

Choose(選択する):提案を受け入れた場合と受け入れなかった場合の結果や選択肢を伝える

 

たとえば

 

Describe(描写する):「最近、待ち合わせに30分くらい遅れてくることが続いている」

Express(説明する):「私は待っている時間に落ち着かなくなるし、来ないんじゃないかって不安に感じる」

Suggest(提案する):「私はあなたに遅刻しないでほしいし、遅刻するなら連絡が欲しい」

Choose(選択する):「あなたが時間通りに来てくれたらその日の予定がスムーズに進むし、遅れるとしても連絡があれば安心できる」

 

というように当てはめてはなします。

交渉上手な人はこのパターンをよく使っていませんか?

 

ポイント

 

ポイントが2つあります。

 

ポイント1:Iメッセージで伝える

ポイント2:拒否の度合いや相手との関係性も勘案する

 

ポイント1:Iメッセージで伝える

 

あなたがこうすべきなのに!と言いたい気持ちになっても、それを伝えてしまうと感情的に衝突してしまいます。

あくまで客観的に伝える必要があります。

「あなたは~するべき!」ではなくて、「わたしは~してほしい、なぜなら~と感じるから」という文面にすると伝わりやすいです。

 

ポイント2:拒否の度合いや相手との関係性も勘案する

 

どうしても嫌なことなのか、少しくらい妥協しても良いことなのかで断り方がかわります。

また、家族などの関係を大切にしたい人物なのか、見ず知らずのしつこい営業マンなどの関係を築きたくない相手なのかでも、断り方が変わります。

DESC法でした提案を断られることもありますが、大切にしたい関係なら、相手の気持ちも受け入れながら自分の事情を説明し、可能であれば妥協案を探すことになるでしょう。

関係を築きたくない相手なら最初からきっぱり断ってしまっても良いでしょう。

 

DESC法のショートカット!

DESC法をもっと簡略化すると、「(客観的事実)について私は~と思うから~してほしい。」がいえれば6,7割はアサーションが達成できています。もし必要があれば妥協案を提示をすれば8,9割は完成します。

より丁寧に付き合いたい相手に伝える大切なことはDESC法をもとに伝えたほうが誤解は招きにくいですが、店員さんや営業マンなどその場限りの関係であれば、「~してほしい」「~しないでほしい」だけでもOKです。

 

大切なことや、伝えるのに強い不安を感じるのであればDESC法でセリフを準備しておくと良いでしょう。

 

3.アサーションのステップアップ

 

1日1回実践できるとアサーションスキルは身についていきます。

できる範囲でトレーニングしていきましょう。

 

いきなり家族や友人の大切な頼みごとを断るのは難易度が高いと思うので、個人的なスケールでの難易度も示します。

できそうなものからやってみると自信が付けられると思います。

人によって順番は違うと思うので、オリジナルな順番に置き換えてください。

 

Level1.

お店の人へちょっとしたお願い 

例)商品の場所をさがしてもらう、アイスティーの氷なしにしてもらう

 

Level2.

お店の人へ面倒なお願い 

例)商品を買わずに両替だけしてもらう、メニューにないものを注文する

 

Level3.

友人、知人にお願い 

例)相談にのってもらう、車に乗せてもらう

 

Level4.

友人、知人に意見する 例)話題を変える、反対意見を言ってみる

 

Level5.

知らない人にお願い 例)電車で座席においているカバンを避けてもらう、道を尋ねる

 

Level6.

お店へのクレーム 

例)嫌だと感じたことを伝える、商品やサービスについての意見を伝える

 

Level7.

知り合いに嫌なことを言う 

例)やめてほしいことを伝える、引き受けていたけど本当は嫌だと感じていた頼みを断る

 

まとめ

 

今日はアサーションについて説明しました!

是非実践して、コミュニケーションスキル向上に役立ててくださいね!

人付き合いのもやもやを減らせるし、自分も相手も大切にできるつながりが増えていきます。

やってみるまでが恐いし、最初は不器用にしかできないかもしれませんが、慣れればスムーズにできるようになります。

めげずに頑張ってください!

 

おすすめの1冊

自分の意見を言うことが苦手な理由と、自分の意見を言うためのアサーションのスキルについてご紹介しました。

もっとアサーションについて知りたい方は、本を読んで勉強してみてください。

「マンガでやさしくわかるアサーション」はストーリーも交えつつわかりやすい内容になっていておすすめです。