ひょん先生は背中で語りたい

精神科医。いじめられ体質から成長中。月曜日更新予定。

好きは大切という話

こんにちは。

本当は複雑性PTSDの治療法であるSTAIR/NSTについて書きたかったんだけど、作業するためにスタバに来て、抹茶ラテに感動してたら、好きなことは大切なんだっていう話を書きたくなったので、変更しました。

でも、愛着障害複雑性PTSDの私には治療について書くのもある程度負担になるから、無意識に書くことを避けてしまっているのかもしれない。昨日から本当は書きたかったのに。昨日は愛着障害について書いたら、そんなにそれてはないのだけど。

 

好きとか、心地よい感覚というのは、メンタル持ちもそうじゃない人も大切だよって話をしていきます。今回も理由を3つほどご紹介します。

 

 

自分のことが好きになれる

 

好きという感覚や気持ちの良い感覚を大切にすることは、それは自分を受け入れてあげることにつながります。

愛着障害のある人たちは、自信がなくて自分が好きになれない人が多いですが、それは小さいときに受け入れてもらえた感覚が少ないことが多いです。虐待といったわかりやすい否定や批難をされなくても、子育ての一生懸命さや、親のその親の子育て方針を踏襲して、みんなと同じかそれ以上じゃなければダメ、優秀でなければ、努力しなくては、と条件付きとなることも、その条件を満たさない自分はできない自分はダメ、とありのままの自分というものの否定につながります。

愛着障害に限らず、日本では全体的に肯定感が低い傾向にあるようです。空気を読むことが大切にされてきた結果でもあるように感じます。

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好きなものや心地よいものを大切にすることで、自分自身に対する安心感や信頼感が生まれます。愛着障害の克服に必要な安心感を、傷つき体験に触れずに得ることができるのです。

自分に対する信頼感や安心感は、自分自身に対するポジティブな感情であり、自分を好きになることもできるのです。

 

エネルギーの循環が良くなる

 

自分に対する信頼感や安心感が生まれることで、意欲や行動力が出てきます。

生まれてきた赤ちゃんは、お母さんの安心感を得ながら、少しずつお母さんから離れた場所で探索行動をして、不安になったりびっくりすることがあれば、またお母さんのところに戻り、大丈夫というシグナルを受け取り、必要な時は危険を遠ざけてもらって、また探索行動にでる、といったことを繰り返し、少しずつ少しずつ外の世界に行動を広げていきます。

しかし、愛着障害ある場合、安心感が十分に得られないため、常に不安や恐怖感を抱え、そのネガティブな感情のために十分に好奇心や本来の力を発揮することが難しくなっています。行動的に見えても、実際は不安を埋めるための空回りであることもあります。

また、エネルギーは休息やリフレッシュによって回復することができるものなので、好きなもので満たされている状態は回復力も高い状態にあります。安心感のある状態では自分が本当に必要なことに敏感になっているので、興味があり楽しめることを選ぶこともできる状態です。

自分が好きなもの、心地よいことを大切にすることで、行動力が高まり、エネルギーの消費が抑えられ、回復力も高まり、より好きなものを選ぶことができる状態になるのです。エネルギーの好循環が生まれます。

 

本当のあなたの力が発揮できるようになる

 

愛着障害でなくても、好きじゃないことばかりしていると、あなたらしさを失ってしまいます。いやいや、しぶしぶであり、本来の力が発揮できない状態になってしまうのです。常にだれかの言葉や社会の常識に縛られてしまうのです。行動指針が私以外の誰かになってしまうのです。そもそものスタートが歪んでしまっているので、あなたらしさは発揮できません。患者さんにかかわらず、好きなことや、自分がどうしたいのかわからない、という人は多いように感じます。

好きなことを大切にすることで、自分がどういうことが好きかという理解も深まりますし、自分自身をありのまま受け入れる自己受容を通して、他人軸ではない自分軸で感じ、考えることで、自分らしさを手に入れることができます。加えて、これまで述べたように自分に自信を持つことができ、エネルギーの好循環が起こることで本当のあなたの力が発揮できるようになります。

 

自分の力なんてないと思ってしまう人へ

少し話が逸れてしまうけど言いたい。もしかしたら、自分に自信が持てず、誰かから馬鹿にされてつらい人もいるかもしれません。ただ、それは本来のあなたでないからそうした状態になっている可能性があると思います。馬鹿にしてくる人たちは、本当は自分に自信がなく、能力がある程度高い、少なくとも空気を読むことができて、自信がない人をいじめることで自分を保っていることが多いです。馬鹿にされてもいじめられても、本来のあなたの状態を取り戻せばきちんと評価が受けれる可能性があると考えています。

真面目な人はストイックなことをしたほうがいいんじゃないかと考えてしまうかもしれませんが、まずは自分の好きなことを満たしてあげることから始めてみてください。自分らしさを取り戻したあなたは強くなれます。私は少しずつ強くなっています。

 

まとめ

 

今日は好きを大切にした方が良い理由について書いていきました。ネガティブな副作用なく、ポジティブな効果が得られます。ただ、もしかしたら、あんまりにも抑圧されて育ってきた場合は、罪悪感を強く感じたり、子供の時に禁じられた記憶が噴出してつらくなる場合もあるかもしれません。その場合は、無理のない範囲で少しずつしてみたり、古傷がうずいてしまっているだけだ、ということがわかるだけでも和らぐのではないかと思います。

セルフコンパッションも好きを大切にすることとつながっているので、今回記事が良いなと思った方はこちらの記事(セルフコンパッションについて - ひょん先生のブログ)も読んでみてください。

 

書いていることの切り口は違うのですが、神田橋先生も養生のコツとして、気持ち良い感覚を大切にすると良い、ということを書かれています。私も神田橋先生の本を通して、気持ち良いを大切にするようにしています。気持ち良い感覚の伸ばし方のコツや方法の提案も書かれているので、気になって方は読んでみてください。