ひょん先生は背中で語りたい

精神科医。いじめられ体質から成長中。月曜日更新予定。

愛着障害、PTSDの人が初めて精神科に行くときに気を付けるポイント

こんにちは。

今日は愛着障害PTSDの人が初めて病院に行くときに気を付けておいた方が良いポイントを書いていこうと思います。期待大で行ってみたら、なんか違った、もう病院に行きたくない、となりやすいようです。ある程度覚悟や理解が必要なことを書いていこうと思います。

 

 

主治医も病院もガチャ

 

親ガチャという言葉が良く使われますが、主治医や病院もある程度ガチャです。

愛着障害PTSDの人が苦手だ、なるべくみたくない、と思っている治療者も残念ながらいるし、治療者の能力が高かったとしても相性が悪い場合もあります。どれだけ能力が高い治療者でも、これを言ったら怒られそう、とか、なんだか話しにくい場合は、相性が良くないんだと思います。

相性の良い治療者に当たればよいですが、慣れていない治療者や合わない治療者にあたってしまう場合もあるので、生活に困難が生じていて病院にかかるときは一つの病院絞り込まず、相性が悪いときは別の病院に行ってみる選択肢を残しておくといいと思います。相性があった場合でも、別の選択肢があるとダメなときはこうしようがある分、気持ちが少し楽になると思います。

どういった治療者が良いのかというのは見分けるのが難しいですが、PTSDの治療を積極的に行っている治療者は愛着障害にも理解を示してくれる人が多い印象があります。暴露療法やEMDRなどの治療を提供している場所や人を探してみると、全然わかってもらえなかったは防げるかもしれません。

 

治療者を選ぶポイントについてはこちらでお伝えしています。ご参考にどうぞ。

drrpsychiatry.hatenablog.com

 

改善には時間がかかる

 

愛着障害PTSDは記憶の統合がうまくできないといった病態であり、薬が効きやすい精神疾患ではないので、薬ですっきりよくなる、といったことは期待しにくいです。また、過去の記憶や逃げ場のないようなネガティブな体験により長年の感情、思考、行動の癖がついているので、修正していくにも時間がかかります。

愛着障害の患者さんは極端な思考になりやすく、少し試してダメならもうダメなんだ、とあきらめてしまうことが多いのですが、治療では良くなったり悪くなったりを繰り返しながら少しずつ改善に向かいます。

 

初回面接ではエネルギーを使う

 

精神科の初診はだいたい1時間くらいかけてお話を聞いていきます(患者さんの状態や病態、病院の体制によっても異なります)。精神科の初診はエネルギーが必要なものですが、愛着障害を特に意識した診察では、過去にどんなことがあったのかを丁寧に聞いていくし、愛着障害が疑われるなら、愛着障害がどんなものなのかという説明がされます。愛着障害とはなにか、という説明だけでもフラッシュバックが起きてしまうことがあります。私も最近、複雑性PTSDの治療法のSTAIR/NSTの勉強をしながら軽いフラッシュバックが起きていました。

治療者としては、フラッシュバックの起きやすさはわかっているし、あまりに初診から盛りだくさんの内容だと知識量も多すぎて混乱してしまうことはわかるので、あまり侵襲的にならないように気を付けながら診察を行うのですが、一時的に診察の後に悪くなることもあるので、ある程度ゆとりがあるときに診察日を設定したほうが良いかもしれません。

 

まとめ

 

今日は愛着障害PTSDの人が初めて精神科の行くときに気を付けるポイントについて書きました。

あんまり脅かして足を遠ざからせたくないのですが、期待して精神科にかかってがっかりした、ということも時々起きるようなので、ある程度知っておいた方がよいことをお伝えしました。

愛着障害PTSDにかかわらず、精神科にかかろうか、という人も程度の違いはあるけど、同じように言えることだと思うので、少しだけ参考にいただけると嬉しいです。