認知行動療法について
昨日はセルフコンパッションについて書きましたが、今日は認知行動療法について書こうと思います。書こうと思えばいくらでも広がるテーマですので、さわりの部分だけ書こうと思います。
STAIR/NST(複雑性PTSDの治療法)の本を買いまして、ちょっと自分で実践してみようとしているのですが(本来は自分一人で取り組む治療法ではありませんが、専門知識もあるし自己治療的に使えるか検証している)、その中で認知行動療法の手法も取り上げられていて、やっぱり認知行動療法、いいなって思ったので今日はご紹介しようと思いました。きっかけが長くなりましたね…。
認知行動療法とは
簡単に言うと、思い込みを捨てて、ニュートラルな捉え方をして、生じる感情や行動を変えていこう、という治療法になります。いつもの嫌なパターンから抜け出す方法です。自分一人でもできることができます。
うつ病、強迫性障害などの不安症などに効果があると言われている、とてもメジャーな治療法です。
治療理論
ストレスとなる出来事があって、感情や行動が生じていると思われがちですが、そうではなく、ストレス状況に対して、自分のなかでの受け捉え方が影響して、感情や行動が生じているのです。これをABC理論と言います。
A:出来事(activating event)
↓
B:思考、理念(belief)
↓
C:結果として生じる感情、行動(consequence)
このBの思考、理念を変えることで感情や行動を変えていこうという治療法になります。物事の捉え直しをして、新しい対処法も考えるのです。
ネガティブな思考や理念はある程度パターン化されていることが多く、これを自動思考といいます。自動思考には主に10パターンあります。覚えなくてもいいですけど、自分にはこのパターンがあるな、とぼんやり眺めてみてください。
- 全か無か思考「すべては〇か✕である」
- 過度な一般化「一度失敗したから、この先も一生失敗する」
- マイナス化思考「褒められたら裏がある、勝ったのは運が良かっただけ」
- 結論への飛躍「注意された、嫌われているんだ。根拠は自分がそう思ったから!」
- レッテル貼り「あの人は怖い人だから良いところなんて一つもない」
- 過大評価と過少評価「うまくできたのはたまたま、失敗したのは自己責任」
- 感情的決めつけ「ネガティブになったら全部ネガティブにしか解釈できない」
- べき思考「すべきことなので、なんでも我慢する。」
- 個人化「悪いことが起きたら、全部自分のせい。」
- こころのフィルター「悪いことばかり記憶に残る」
(https://support-mental-health.co.jp/blogs/cognitive-distortion/ から引用)
また、自動思考の奥に、スキーマという、その人の信念や思い込みがあります(人との約束は守らなければいけない、完璧な自分でなければ価値がない、など)。自動思考やスキーマに対して、新たな視点をもち検証を行うのが認知行動療法です。本当にそう言えるだろうか、その根拠はなんだろうか、そうした自動思考やスキーマは役に立っているだろうか、友達が同じ状況であったらどう考えるだろうかといったことを考え、検証を進めていきます。
人の考え方は生まれてからずっと身に着けているものなので、簡単には手放せないのですが、新しい考え方を取り入れることで少しずつ受け取り方や考え方は変わっていくのです。
以下の自動思考に対する質問や、ソクラテス式問答を参考に検証してみてください。
自動思考に対する質問
1,どんな根拠があるか?
・この自動思考を支持する根拠は何か?
・この自動思考に反する根拠は何か?
2,何か別の見方はあるだろうか?
3,起こりうる最悪の結果とはどのような事だろうか?
・自分はそれを切る抜けられるだろうか?
・起こりうる最良の結果とは、どのような事だろうか?
4,この自動思考を信じることによってどんな効果があるだろうか?
・この自動思考を修正すると、どんな効果があるだろうか?
5,この自動思考に対し、どんなことを行なえばよいだろうか
6,もし、友人が自分と同じ状況に置かれていたら、その友人になんと言うだろうか?
ソクラテス式問答
1:明確化の質問
・この問題の具体的ゴールは?2:前提の質問
・この問題についてわかっていないことは?3:証拠の質問
・今の答えを事実だと考えた理由は?4:起源の質問
・今の考え方はどこから得たもの?5:結果の質問
・これを試したらどんな効果があるだろう?6:視点の質問
・ほかの人はこの問題にどうこたえるだろう?7:仮定の質問
・今の答え以外に考えられる答えは?
(自動思考に対する質問、ソクラテス式問答 https://sendai-shinri.com/1829/ から引用)
認知行動療法の始め方
私も認知行動療法に取り組んだことがありますが、ちゃんとしようとすると、ちょっとめんどいんです。合う人と合わない人がいると思います。効果はあると思うので、合う人合わない人というよりも、続く人と続かない人といった方がよいでしょうか。認知行動療法を得意とする先生やカウンセラーさんに認知行動療法をお願いできるならお願いしてみてもいいかもしれません。適切な指導が受けられますし、ジムや習い事と一緒で人がいたほうが続けられます。認知行動療法の効果は証明されているので、あとはやってみるか、どうするかという問題です。100%ではないですけど、特に薬のように副作用があるわけではないので、やりやすいやり方ではじめてみるのがおすすめです。
出来事、自分の考え、感情や行動の3項目について毎日の生活の中で簡単に記録しておき、その中の大切だと感じるテーマについて、思い込みや自動思考を特定して検証する、といったやり方が良いと思います。
出来事を簡単に書き留めておくだけでも、客観的に出来事が捉えられ、こういう癖があるんだな、と傾向も見えますので、十分役立てることができると思います。
認知行動療法っておもしろいな、自分にはしっかりするのが合いそうだ、という方は「嫌な気分よ、さようなら」がおすすめです。さまざまな手法を紹介してくれています。
まとめ
今日は認知行動療法についての紹介でした。自分の中の信念のような思い込みに気付き、それって本当かな?他の見方はないのかな?と検証をして、うまくいかない今までのやり方から新しいやり方と結果に導いてくれる手法になります。思い込み、自動思考を完全否定して手放すというよりは、うまく飼いならしていくのです。
私自身での挫折歴がありますが、効果はきちん世界的に証明されているし、今少し形を変えてやってみて、もやもやも少し晴れている感じもしていて、実感的にも有効な手法だと感じています。
わかりにくい部分もあったと思うので、また改訂版を書くかもしれないです。たぶん返事はしないんですけど、コメントでわからないところとかを教えてもらえると嬉しいです。
やってみるまで至らなくても、言葉を知っておいて、いつか必要なときに思い出して使ってもらえたらと思います。